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初恋 5

Autor: 煉彩
last update Última actualización: 2026-01-07 22:39:04

 そうだ。

 黒崎さんから返事、来ているかな。

 スマホを見るが、何も通知は来ていない。

 やっぱり。

 返事なんて、期待しない方がいいよね。

 黒崎さんが私みたいな普通の女子大生を気にかけてくれることなんてないだろう。

 帰宅をし、今日はシャワーで済ますのではなく、湯舟に浸かった。

 お風呂の中でいろいろと考える。

 連絡先を教えてくれたけど、これからどうすればいいのかな。

 心の奥では、自分が傷つくのがこわいから「諦めた方が良い」という答えと「黒崎さんのことを知りたい」という気持ちで揺れている。

 ベッドに横になり、スマホを見る。

 一件の通知が来ていた。

 優菜かな?

 アプリを開いてみると、黒崎さんからだった。

 返事が来たぁ!

 ベッドから飛び起きる。

 緊張しながら、内容を読むと

<お疲れ様です。残業で返信が遅くなりました。急に連絡先を聞いてしまいすみません。でも、嫌じゃないなら良かった。今度、時間が合えば食事にでも行きませんか?>

「えっ、うそうそうそ、きゃあー!!」

 嬉しさの余り、悲鳴をあげながらベッドを叩く。

 ご近所迷惑だと思い、落ち着こうと深呼吸をする。

「食事に行きませんか?」は気を遣って言ってくれたのかな。

 男性経験がないから、マイナスに考えちゃう。

 ううん!返信をしてくれただけで、第一歩だと考えなきゃ。

 黒崎さんに返事をした。

<こんな時間までお仕事お疲れ様です。私で良かったらぜひご飯に行きたいです!>

 送信ボタンをタップする。

 ドキドキしながら返事を待っていたが、その日、返信が来ることはなかった。

 大学に行き、優菜に黒崎さんとのやり取りについて報告すると

「良かったじゃん!ご飯、行ってきなよ!」

 優奈は自分のことのように喜んでくれた。

「一通だけで返事がないんだ。忙しいのかな」

 食事に誘ってくれたけれど、正直本当に行けるのか自信がない。

「向こうから誘ってきたんでしょ?嫌だと思っている女《ひと》にそんなこと送らないって。焦らないで、ちょっと待ってみたら。相手は社会人だから、私たちみたいに勉強だけすれば良いってわけじゃないと思うよ」

 優菜からの言葉は、私の考え方をプラスにしてくれる。そうだよね、相手は社会人なんだから。

「うん、ありがとう。待ってみる」

 彼からの返信を待とう。

 良い返事が来ればいいな。

 淡い期待が膨らむ。

 ああ、そうだ。

 もう一つ優菜に話したいことがあったんだ。

「実は、昨日。バイト先でもお客さんに連絡先を教えられてさ」

「すごいじゃん!美桜のモテ期が来たんじゃない?」

 優奈は興味津々だ。

 しかし、こっちの話は気が重くなる。

 優菜に川口さん《おきゃくさん》の話をした。

「うげ、気持ち悪い。なんか、勘違いしてない?気をつけなよ」

 さっきの態度とは一遍、話を聞いて気持ち悪い、恐い、そう優菜は繰り返す。

「店長も気を遣ってくれて、もうオーダーとか関わらなくていいって言ってくれてるから助かる」

「そりゃそうだよ。若い子が好きなのかな。結婚はしてそう?」

 そういえば、左手の薬指に指輪はしていなかったような気がする。細かいところまで見てないけど。

「カフェに何回も来ているのも、美桜が目当てかもよ。気をつけなね」

 私のどこが良いのだろう。

 川口さんとは、店員とお客さんとしてしか会話をしていないのに。

 今日はアルバイトがお休みだったため、優菜と一緒に買い物に出かけた。

「黒崎さんからいつでもご飯に誘われてもいいように、洋服を買いに行こ!」

 優菜の提案からだ。

 大型ショッピングモールを歩いて、何軒か気になるお店を巡る。

「これ、可愛い!」

 優菜はもともとファッションに興味があるため、いろんなお店を紹介してくれる。

 私はある店の水色のワンピースが目に入った。

「優菜。あれ、可愛くない?」

 近くに行き、手にとってみる。

「可愛い!値段もそんなに高くないよ。夏らしくていいじゃん。美桜、試着してみれば?」

 確かに値段もそれほど高くない。

 店員さんに声をかけ試着をしてみたが、サイズもぴったりだ。

 優菜に見てもらう。

「美桜、似合うよ!買っちゃいなよ」

 たまには、良いよね。

 自分のために洋服を買うのは、何か月ぶりだった。

「これでいつ誘われても大丈夫だね」

 カフェに入り、二人で休憩をする。

 本当に私なんかを誘ってくれるのかな。

 そんな不安が頭から離れない。

 どんな人かも正直わからない。

 でも悪い人ではないと、なぜかそれは確信が持てた。

 優菜と別れ、帰宅をする。

 アルバイトがある時は、夕ご飯もカフェで作ってもらうことが多い。

 店長からの好意で、余った食材でいつも何か作ってくれる。食費が浮くため、有難かった。

 自炊ができないわけではない。

 凝った料理はそんなに作ることはないが、年相応にはできる方だと思う。

 夕食を作りながら、ふとスマホを見た。

「あっ!」

 黒崎さんから返信が届いていた。

 ドキドキしながら文章を読む。

<良かったら今度の土曜日、ご飯に行きませんか?>

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